第6恋

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憂鬱な気分の中に閉ざされながらも、私が最後であろう昇降口を出た。 たちまち暗い夜が重い幕のように落ちて来て、数本の街灯だけが足元を照らす道を歩く。 最寄駅までは徒歩で約10分。 普通に車も通っている道だし、確かに暗いけど危なくはないと思う。 頭の中は、耳にしているイヤホンのおかげで音楽のことばかりだし。 外の音はすべてシャットアウト、私だけの世界を楽しむだけ。 だから。 ぐ、と。 思いっきり腕を掴まれて、身体が斜めに傾いた時は、こんな私でも一瞬焦った。 「こんの……バカ女!!!」 メガホンを口にあてがって、太いバスで怒ったように叫んだのは。 「…大、和……?」 表情に獣のような怒りがギラギラと光っている大和が、目の前にいた。 いつの間にかイヤホンは耳から抜き取られていて、両腕を力強く握られている。 今にも噛みつきそうな大和と、突然のことに私の心臓は珍しく、激しく動いていた。 「大和!」 後ろから聞こえてきたのは煌の声と、いくつかの走り寄る足音。 恐る恐る大和の後ろを見てみると、予想通りのメンバーが集合していた。 「えーと……なぜ、みんなしてここに?」 「お前をずっと待っていたに決まってんだろ!」 「は?待ってたって……いつから?」 「文化祭からずっとだっつーの。携帯にいくらかけても繋がらないし、帰りがいつになるかも分かんねーし」 私、一気に疲れが押し寄せてきて頭がおかしくなったのかな。 リアルすぎる夢をみているんだけど。 「悠!!あぁー……もう、よかったぁ」 ぐら、と大和の腕から私を無理やり引っ張り出して抱きしめたのは、柚夢。 この腕の感触……あはは、夢じゃないみたいです。 .
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