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それもすぐに、煌の腕によって私と柚夢はベリッと剥がされた。
「とりあえず!家に帰ってから話すぞ。車まで戻ろう」
いつものように、大人の判断で動く煌は何ら変わらないように見えるのに。
私と一瞬だけ視線を合わせてすぐに、パッとわざとらしく逸らした。
その後ろにいた日向は困ったように微笑んでいて、築茂は相変わらず堅い表情。
玲央はムスっと唇を尖らせているし、空雅は珍しく眉間にシワを寄せていた。
「ちっ」
と、明らかに舌打ちした大和は踵を返して1人歩き出す。
私は何が何だかさっぱり分からないけど、とりあえずこの近くに煌の車と大和と玲央のバイクがあることは分かった。
何も言わずに黙って歩き出したみんなの後ろを、腰が引ける思いでついて行く。
頭の中では、グルグルとこれまでのことを整理しようと精一杯。
つまり、えーと………みんながここにいるのは、文化祭が終わってから今の今までずっと私が学校から出てくるまで待っていたってことで。
わざわざ学校からちょっと離れたところに車を止めたのは、目立たないようにするためだったのかな。
……どうして待ってたりしたんだろう。
おかげで、帰りながらいろいろ心の準備をしようとしていたのにそんな時間さえ許されなかったじゃないか。
何の武器も持っていないどころか、盾さえ用意していないんですけど。
さーて、何て言い訳して逃げようか。
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