第7恋

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白い革製のソファは、余裕で8人全員が座れる大きさ。 俺の目の前には、開き直った顔でしれっとしていて、俺が今日1日ずっとムカついている相手。 「おい、悠」 自分でも分かるほどに、嫉妬の光を帯びた目つきで睨む。 無理やりな感じで俺と目を合わせた悠は、あからさまに呆れたため息を吐いた。 「大和、そんなに睨んでも悠には無意味だってこと、分かってるでしょ」 「睨まずにいられるかよ!こいつは……俺たちを騙したんだぞ?」 こんな時でも悠を庇おうとする優しさを見せる日向の言葉も、今の俺には気に食わない。 本当はめちゃくちゃ怒りでどうにかなりそうなくせに、平常心を無理やり保とうとしやがって。 「大和の言葉には滅多に賛同しない僕も、今回ばかりは大和と同じ意見だね。怒りが腹の底をぐらぐらさせるよ」 「俺、も……怒りより、悲しい。悠は、嘘をつかないと…思っていた、のに」 「ムウも玲央も落ち着いて。まずは悠の話を聞こう」 煌の野郎、こうやっていつも大人ぶって1人だけ冷静にしてるところも勘に触る。 「とっとと話を進めなければ、このバカの頭が高速回転して上手い言い訳を作るぞ」 「おいおーい!バカの頭じゃ高速回転しなくね!?ってか、悠がバカだったら俺はどうなんだよ!」 「今はお前の話などどうでもいい。黙っとけ、バカザル」 築茂と空雅のやり取りも、普段はおもしろいと感じるのに、今の俺にはウザいとしか思えない。 俺がこんなにムカついている原因は、今日の朝から始まっていた。 .
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