第1恋

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私は音楽はお絵かきだと思ってる。 聴覚のイメージは別の感覚に置き換えると、すごく分かりやすくなるんだ。 温かいバス、冷たく光るピアノ。 乾いたスパニッシュギター、煌びやかなアルペジオ。 ハーモニーは虹色に、三度のハモリは定番で水色に明るく、五度は力強い金か茶か、そのあたり。 七度はオシャレなルージュや紫、何処までも鮮やかに。 私は和声外音が好きだ。 騎士みたいな勇敢な青や緑に響いていて、不協和音は時に刺激的。 やりすぎは禁物だけど、酸っぱい梅干しみたいにくせになる。 こうやって、曲を作るときは一枚の絵画を思い浮かべる。 低音、中音、高音は三次元の建築に見立てるの。 歪んだギターが好き。 熱いエナジー、隙間を埋め尽くして心地よいノイズになる。 これからも素敵な曲を建てて、大好きな彼らの音と共に、奏でていきたい。 「うがぁー!!楽しかったぁ!」 「悠、女の子なんだから叫び声を間違えるんじゃない」 「だって楽しすぎて無意識に出てくるんだもんっ」 「……あぁもう、可愛すぎる」 録画が終わった瞬間、天井に向かって大きく背伸びをして叫べば。 お母さん役の煌が初めてそれらしい言葉を言ったような気がする。 照れたように笑う煌が、さっきまでとは別人のようだなと思いながら私も笑った。 「あ!そういえば今日、新しい音が浮かんでメモしたやつがあったんだ。ちょっとそれやっちゃうね!」 リビングにあるカバンの中から授業中に書いていた紙を取り出して、もう一度ピアノの前に座る。 周りにいる彼らのことも忘れて、ひたすら新しい音たちへと心を躍らせた。 .
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