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こうやって俺たちは牽制し合って、お互いがお互いを仲間でありながらライバルであるということを日々自覚していなければいけない。
ちょっと気を許してしまえば、今まで我慢してきたものが張り裂けそうになってしまうから。
俺たちがそんなことになったら、一番に傷つくのは絶対に悠だから。
悠を傷つけることだけは、絶対にしたくない。
「………どうしたら許してもらえるの?」
ぼそっと呟いた悠の意外な言葉に、俺たちの視線は全て悠に向く。
ふざけて言っているのかと思ったら、至極真面目な表情でコップに視線を落としていた。
「悠、それは……どういうこと?」
「そのままの意味だよ。あんなに築茂を怒らせたら中々元に戻れないかなぁと思って。どうしたら許してもらえるのか、私には分からない」
僅かにニヤリ、とほくそ笑んだムウの考えていることは絶対に危険だ。
「言っておくけど悠、怒っているのは築茂だけじゃないからね?僕だって今すぐ悠を押し倒してめちゃくちゃにしたいくらいには怒ってるよ?」
「うん、柚夢が怒っているときは目とオーラですぐに分かるよ」
「ちょ、ちょちょちょ!突っ込むところそこじゃないっしょ!?お、おし、押し倒したい…とか、危険なこと言ってるんだぜ!?」
「別にそんなことはどうでもいいって。それより、どうしたらみんなは今回のことを許してくれるの?」
「……どうでもいい?へぇ、僕の言葉は全く悠に届いていなかったってことだね」
「あぁ、柚夢の言葉はすべてが心に沁み渡るようにすっごく響くなぁ。一生、心に残るだろうなぁ」
うわー、すんげぇ棒読み。
「許すって言われてもなぁ………もう一回、ここだけでコスプレするとか?」
……………。
「え、何この空気!俺、今何か変なこと言ったか?」
あぁ、本当にこいつの顔がサルに見えてきた。
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