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悠の空雅を見る顔なんてそれはもう、人間を見る目じゃない。
今すぐにでも穴に埋めてやりたいって明らかに顔に書いてある。
「空雅………」
ほーら、ムウだって身体を震わせて怒りでどうにかなり………。
「それ、いい案だね!!!」
………あ?
「そうだよ、文化祭ではあんな大人数の前であんな恥ずかしいことを簡単にできたんだから。僕たちの前でできないわけがないよね?」
おいおいおいおい、こいつは正気か?
悠の空雅を見る目が一瞬にして狂気に変わってるんだけど。
「ここでもう一度、悠にコスプレしてもらうってこと?」
「そうそう。悠、できないわけないよね?」
日向の言葉は即座に切って、すでにこいつの頭の中では強制実行らしい。
「あははははー………やるも何も、コスプレなんてもう持ってないし?」
「じゃぁ買ってこよっか。僕が選んであげるからさ」
「いやいやいやいや!そんなのダメだろ!お前の趣味なんてロクなものじゃねぇし!」
「大和は黙ってて。明日にでも買いに行こうよ」
さすがだな、この野郎。
「いや、明日は私、他に用事があるから無理です」
「用事?それって何?」
「……生徒会メンバーで文化祭の打ち上げ」
「ふーん……まぁ、それは仕方ないね。じゃ、僕が買ってくるから。夜、楽しみにしてて」
「………」
ぞっとするほど愛嬌のある笑顔に、悠は黙ることしかできないようだった。
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