第7恋

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食品売り場をちょっと出て、レストラン街の隣にある出口へと向かう。 この人数で、平均身長182の俺たちはどこに行っても注目を集める。 ここに悠がいると、より好奇の視線が向けられる。 その度に悠の姿を知らない奴に見せたくないって気持ちと、悠は俺たちのものだっていう優越感に浸るんだ。 悠は人の目を一切気にしないから、自然体でいるからこそ、無防備な姿すら簡単にする。 それを俺たちが囲むことで、他の奴らの目に触れさせないようにしているんだ。 「あ、悠に似合いそうなシュシュとネックレス発見」 悠のヘアアレンジや美に関して一番こだわりを持つムウが、雑貨店へと目を向けた。 確かに悠は何でも似合うけど、最近の俺でも悠に一番似合う色や髪型が分かってきた。 っていうか、俺が一番好みっていうだけなんだけど。 それでもやっぱり本当にどれもヤバすぎるほど似合うし、カッコよくも可愛くもキレイにも当てはまる悠。 女のファッションやヘアスタイルなんてどうでもいいと思っていた俺が、ウィンドウ越しに女物を見るとすべて悠に当てはめるようになった。 「ちょっと見て行こうか。奥のほうにもいろいろあるけど、どうする?」 「そういえば悠、この前新しい財布がほしいって言ってたぜ。今使ってるやつ、もう2年くらいになるんだって」 「何で大和がそんなこと知ってんの?」 「別にいいだろ、そんなの」 立ち止まって聞いてきた煌に俺が思い出したことを言えば、日向がじろりと怪しげに睨んできた。 曖昧に答えたのは、俺自身に悠が言ったんじゃなくて悠の独り言が聞こえただけだから。 こういうところで嘘でもちょっと差を見せつけたいと思う俺は、相当独占欲が強いんだろうか。 .
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