第7恋

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そのまま俺たちは、ムウが見つけた雑貨店でシュシュとネックレスを買った後。 レストラン街の先にあるショッピング街へと向かった。 財布専門店へと入り、悠に似合いそうな財布をそれぞれ好き勝手に見ていく。 あいつが好きそうな色、柄、使いやすさなどを考えていく。 こんなに真剣に考えるのは、たとえ俺一人だけじゃなくても贈る相手が悠だから。 悠にはどんなものでも似合うし、あいつはこだわりなんてバカみたいにないから何をあげても笑顔で受け取ってくれる。 だけど、やっぱりあいつのものはすべてに思いを入れておきたい。 あいつが財布を見るたびに、俺たちが真剣に選んでいる姿が思い浮かぶように。 俺たちがいないところでも、俺たちのことを思い出してくれるように。 もっと欲を言うならば、俺“だけ”のことを考えてくれるように。 7人、1人1人がこんな想いで選んでいるんだから、最終的にはやっぱりぶつかるわけで。 「いーや!これがいいって!」 「こっちの方が持ちやすいし、お金も出し入れしやすくない?」 「空雅のも日向のもセンスなさすぎ。一番センスのいい僕が選んだ財布は悠にピッタリだ」 「そんな高級なのは返って悠が使いづらいと思うんだけどな」 「大事なのは使いやすさ、収納、どれだけ入るかだ。お前らのは話にならん」 「これが、いい。これが、可愛い」 「たーっく、もう俺のでいいんじゃね?」 店員も困ったように、俺たちの様子を眺めていた。 .
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