第7恋

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どんなに人がいたって、俺たちが悠の姿をすぐに見つけられないわけがなくて。 俺と同じように、誰かの息をのむ音が聞こえた。 「………悠?」 「っ…あの男、誰」 玲央の不安気な声に、ムウの殺気に満ち溢れた声。 「あ、俺あいつ知ってる!生徒会の2年だよ。ほら、生徒会で打ち上げって言ってたし」 「でもどっからどう見ても2人だけなんだけど。しかも、打ち上げはカラオケでするって悠、言ってなかったっけ?」 煌の言う通りだからこそ、俺は自分の目を一瞬疑ったんだ。 「も、もしかしたらっ…えーと、カラオケが飽きたから買い物にでも来た、とか!?たまたまここには2人で他の奴らは近くにいんじゃねーの?」 空雅の必死のフォローもそれらしいけど、でもあの男の表情を見ればそれが違うってことくらい分かる。 悠が好きでたまらないって、今が最高に幸せだって顔に書いてあるようなもんだ。 「どうするんだ?追いかけるか、見て見ぬフリして帰るか」 「もちろん、追いかけるに決まってるでしょ」 冷静に言葉を吐き出す築茂に、走り出そうとするムウを日向の腕が止めた。 「待って。もし本当に他の生徒会の子たちがいたら俺たちとのこと、怪しまれるよ。悠は絶対に嫌がると思うんだ。だから、ちょっと様子を見てみようよ」 「様子を見るって……どうすんだよ?」 追いかけることしか思いつかない俺が聞くと、日向は少し考えた後に口を開いた。 .
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