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まっすぐ延ばせば月にだって届きそうなくらい長く深いため息を、誰がしたのか分からないほど全員が頭を抱えている。
「悠……どうして正直に言わなかったの」
「昨日と同じような理由かな。言ったところで簡単に許してもらえないと思ったから」
煌に聞かれたことに素直に答えると、何度も小さく頷きながら煌は唇を噛みしめた。
「要するに、悠は俺たちに縛られすぎてるんだ。俺たちがあまりにも心配しすぎて、悠に嘘を吐かせている。悠だって普通に友達としての付き合いだってあるはずなのに」
さっすが煌、よくぞ言ってくれました!
「みんな、もう少し私を信用してほしい。私は自分の身は自分で守れるし、人の好意もしっかり断れるよ。みんなに心配されるのも不安にさせるのも嫌なんだ」
真剣に言えば、きっと伝わる……はず。
「……だけど僕は、世界の何よりも悠が大切だ。僕が認めない男が悠に近付くのは絶対に嫌だし、話したり笑い合ったりする姿も見たくない。出来れば、悠をこの家から出したくないんだけど」
「柚夢、それは……」
「分かってる。それは僕の欲望で悠の気持ちを無視することになる。だから、なるべく悠の気持ちは優先したんだけど……いざ目の前にするとマインドコントロールがうまくいかない」
柚夢は昔とだいぶ変わった。
確かに昔から独占欲や嫉妬心は強かったけど、いつも自分の気持ちよりも私の気持ちを優先してくれていた。
その時の私には、それが柚夢を苦しめているようで嫌だったけど今は全く逆だ。
だけど昔の柚夢と比べたら、今の柚夢のほうがずっと好き。
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