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向かった先は、洗面所。
バタン、とドアが閉まった音と同時に柚夢の腕が後ろから回ってきて。
そのまま強く、抱きしめられた。
「柚夢……?」
名前を呼ぶとさらに抱きしめられる腕が強まり、柚夢の顔は私の首筋に埋められた。
「んっ」
軽く首筋にキスが落とされて、思わず声が漏れる。
「柚夢、早く着替えないと」
「………ずっと、こうしたかった。悠が僕の知らない男と楽しそうに話す姿を見るだけで、胸をちりちりと焼かれる思いをしてた」
一度離されたと思ったら、次は身体を反転させられて前から抱きしめられた。
それもすぐに距離が出来て、柚夢の綺麗なコバルトブルーの瞳が私を見下ろす。
「悠、問題ね。悠に見えて僕には見えないものってなーんだ?」
「急にどうしたの?」
「答えはね、今、悠の立ち位置から見える景色でした。もう1つ問題。僕に見えて悠には見えないものってなーんだ?」
「えぇー……」
「答えはね、何言ってんだ?っていう悠のその表情」
そのまま、柚夢は。
苦しそうな表情で私の唇に。
深いキスを、落とした。
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