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全く引いていない赤い顔に、大丈夫かどうか聞くのを迷ったけど。
ここまで顔を赤くしてちょっと動揺している柚夢を見るのは初めてに近かったから、そっと見守ることにした。
「はぁ……僕、今さらになってちょっと後悔だな」
「え、何が?」
「何でもない!早くしないとあいつらに怒られるね。一度カチューシャははずそっか。耳の下でツインテールにするね」
鏡を見ながら私の髪を優しく撫でる柚夢だけど、私とは一切目が合わない。
合わせない様にしているっていうのは自然に伝わってくるんだけど、こんな柚夢を見れるのも結構貴重かも。
だからあまり深くは考えずに、この状況を少しでも楽しんじゃお。
素早く、だけどキレイにツインテールをしてくれた柚夢の指はやっぱり気持ちいい。
最後にネコ耳カチューシャをつけてもらって、ついにお披露目のとき。
「あぁ……誰にも見せたくないな………」
「いやいや、早く行こうよ。待たせてる時間が長ければ長いほど、何言われるか分からないし!」
半ば強引に柚夢を押しのけて、洗面所から出た。
仕方なくと言った様子でついてきた柚夢が先にリビングに入る。
「お待たせ」
「時間かけすぎじゃね?悠に何もしてねーだろうな?」
「何、大和は僕が悠を丁寧に最高級に可愛くしてあげていたのに文句でもあるの?」
「……あーはいはい、すいませんでしたー」
「よろしい。悠、入っておいで」
柚夢と大和のやり取りに呆れているところで名前を呼ばれて、ちょっとばかり緊張のせいなのか、背筋が伸びた。
1つ深呼吸をしてから、静かにリビングへと足を踏み入れた。
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