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退屈な授業を6つも無事に乗り切れた私は、部活のピンチヒッター狩りに現れる人たちからいち早く逃げるべく。
カバンを肩に提げ、入学当初から変わらない席を立った。
「悠!もう帰るの?」
「陽斗、また明日ね」
「ちょ、ちょっと待って!帰るなら一緒に帰らない?」
「別にいいけど……部活はないの?」
「ほら、期末試験2週間前じゃん?だから今日から部活はないんだよ」
「あ、そうだった!なーんだ、焦って帰る必要なかったじゃん」
うっかりうっかり。
「焦って帰ろうとしてたの?」
「ううん、何でもない。もう行く?」
「うん!今準備するからもう少し待ってて!」
席も隣の陽斗とは、陽斗が部活がないとたまに途中まで一緒に帰ることはある。
そこに空雅が入ったり大高が入ったりすることもよくあることだ。
「お待たせ!行こうっ」
相変わらずスマイル全開の陽斗と、まだ生徒たちで溢れている校舎を出た。
「それにしても、悠のコスプレ本当にすごかったよね!俺も写メ撮りまくってばっちり保存したし!」
「もーその話はやめようよー。今日だってその話題で何度体力を使ったことか」
「悠の体力は信じられないほどあるから大丈夫だって」
「陽斗ほどではないよ。そういえばバスケ、県大会出場おめでとう!8月だよね?」
「そうそう!悠、もし大会の日空いてたら見に来てよ!俺、頑張るからさ」
「私がいなくても頑張ってもらわないと。でも行けたら行くよ。詳しいことが分かったら教えてね」
そんな他愛もない話をしながら、乗る電車が違う私たちは駅の改札口で別れた。
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