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そろそろ寝よっか、とリビングを出た日向。
ベッドは普段、大和と玲央と柚夢が寝ている3つしかないから後の4つは布団。
布団を敷きに行った日向の後を、煌も手伝うよと追った。
「はは、あの2人が先にギブアップってことか」
ニヤ、と意味深な笑顔に言葉を落とした柚夢を見上げると。
何でもないよ、と無言の笑みで返された。
「俺は先に行く」
「ふぁ~、俺も課題で疲れたから先に寝るわ」
静かに出て行った築茂と大きな欠伸をした空雅を見届けて、まだ両隣にいる柚夢と玲央、すぐ後ろに立っている大和にも視線を送る。
「俺らはだいぶ、免疫ついたからな」
「それはもう。最初の1週間は死ぬかと思ったし」
「悠と2人暮らしにならなくてよかっただろ?」
「……今考えてみれば、あの時の選択が正しかったとつくづく思うよ」
「レイも、いるし……よかった、よかった」
何の話をしているのか、さっぱり分からないんですけど。
「ちょっと、何の話してるわけ?」
「ん~?男って生き物は大変だっていう話~」
「はい?意味分からん」
明らかに堅い笑顔で不気味なほどに口角が上がっている柚夢。
これは引き下がったほうが身のためだな。
「ま、いっか。私たちも早く寝るよ。明日も学校、仕事、いろいろあるんだしさ」
くるっと回転するイスを180度回して、大和のお腹と向き合う。
「ぐほっ」
「わ、硬い!」
グーで大和の腹筋にパンチを入れてみたら、すごく硬かったからビックリ。
本人は痛そうに顔を歪めているからそのうちに私はリビングを飛び出した。
「じゃーみんなー!おやすみー!!」
自分の部屋に入る前に大声で叫べば、あちらこちらから返事が返ってきたことに満足して。
部屋のドアを、閉めた。
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