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そんなことははっきり言ってどうでもいい。
私がどうして、少なからずショックを受けているのかということが問題だった。
「もっとお前に、いろんな世界を知ってほしい。もっといろんなことに興味を持ってほしい」
風舞先生は、私のことを分かってくれていると勝手に思い込んでいたからかもしれない。
私がこういうことを無理に押し付けられるのが嫌だってことを分かっていてくれたから、今まで何も言わずにいるんだと思っていた。
でも、違った。
風舞先生も結局は、いい大学に自分の生徒が入れば自分の教師としての立場もよくなる。
この高校の名誉も上がるし、教師側からしたら優秀な生徒を1人でも多く優秀な大学に行かせたいのは分かる。
だけどそれは、私のためなんかじゃないじゃん。
風舞先生は、生徒のことをしっかり見て、理解してくれていると思っていた。
いや、私以外の生徒にはそうなのかもしれない。
だけど私が、普通の生徒ではないから。
風舞先生ですら、私を利用しようとしていることが思っていた以上に。
ショック、だった。
「………すいません。大学に行く気は本当にないので」
とっさに顔に愛想笑いを張り付ける。
「どうしてそこまで頑なに行かないと言い張る?何か他に大きな理由でもあるのか?それとも他にやりたいことがあるのか?」
理由、か。
出来れば、もう学校というたくさんの人が集う場所には行きたくないのも理由の1つだ。
そんなことを理由に挙げたくらいじゃ、納得してもらえないのは目に見えている。
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