第1恋

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時刻はすでに午前1時を回っていて、いつもベッドの上で放置状態の携帯のランプが点滅していることに気付いた。 部屋の電気を消してベッドに潜り込んでから、携帯を手に取る。 もちろん中身は大体予想がついていて、新着メールが13件。 バンド関係の人が半数で、残りは今日メアドを交換した新クラスメイト達から。 その中には、隣の席の陽斗の名前があった。 『悠と同じクラスになれて本当に嬉しいよ!これからよろしくね。今度、バスケの試合観に来てほしいな~』 と、私は絶対に使わないような可愛い絵文字入りのメール。 ふふ、と思わず笑いが零れてすぐに。 『こちらこそ!試合日教えてね。空いてれば観に行くよ』 陽斗のメールとは打って変わって、素っ気ない文章を送った。 他のメールにも適当に返信を終えて、携帯を充電器に差し込む。 朝起きたとき、夜中に来るメールのせいで充電が異様に減っているときがあるから。 「ふぅー………」 枕に頭を沈めて、月明かりで薄らと見える天井を見つめる。 まだ遠くではドタバタと落ち着かない音が響いていて、その音の原因を想像するだけで勝手に頬が緩む。 撮った動画はすでに築茂がアップロードしてくれたし、今日はいい曲もできた。 新しい学年になって、新しい生活が始まって、それでも彼らとの関係はさらに深くなって。 今はすべてが、幸せだなと思える。 バカ言い合って笑って、一緒に音楽を作って、こうやって1つ屋根の下で寝る。 平穏で、それでも毎日いろいろな発見があって、退屈しない。 明日も、みんなの笑顔が見れますように。 そう心から願って、途切れそうになる意識の中、ゆっくりと瞼を閉じた。 だから私は、全く自覚していなかったんだ。 いつまでも、こんな生ぬるい生活を続けていくことなんて出来ないことを。 私は“女”で彼らは“男”であることを。 それを彼らがどんな想いで制御してくれていたかも知らずに。 私は何も、知らなかった。 .
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