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同じ制服を着た生徒、決まったメンバーと楽しそうにする会話、廊下で響く教師の声。
「で?何て答えたわけ?」
今日も学校は健在です。
「私が総理大臣になったら、総理大臣を辞めるって答えたら爆笑されたー」
「あはははっ!そりゃそうだわ。だって答えになってないもん」
「やっぱり?自分でもよくよく考えたらそうだなーって思った」
「本当、悠って頭いいのにバカだよねぇ」
今朝の出来事を愛花に話していた朝のHR前の時間。
くだらないことを言って笑う、それが愛花との大切な朝の時間。
「悠!おはよっ」
「あ、陽斗ー!おっはよー」
朝から元気な笑顔で駆け寄ってきた陽斗に、笑顔で挨拶をする。
「えっと、君は確か……青田愛花さん!悠の親友で吹奏楽部だよね?」
「陽斗、よく知ってるね~」
「へへっ。悠の周りのことなら何でも知ってるよ」
愛花が私と陽斗を見比べて、やれやれと肩を落とした。
「こっちは笹宮陽斗。バスケ部だって」
「そうなんだ。よろしくね」
「うん!よろしくっ」
ニカッと笑って席にカバンを置いたらそそくさと男友達の元に行った陽斗。
「……悠、あんたも全く大変だね」
「え、何が?」
「どう見ても悠に気があるじゃん」
じと目で曇りのない笑顔を振りまく陽斗を見る愛花に、私も苦笑を零した。
「でもあの子は……ちょっと意味が違うかも」
「え?何か言った?」
「ううん、何も。それより昨日空雅がさー……」
名前を出した途端、どんだけ地獄耳なのか、飛んで来た空雅と一緒に着いてきた大高も交えていつものバカなやり取り。
「席に着けー。HR始めるぞー」
あっという間に時間は過ぎ、新担任が教室に入ってきた。
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