第1恋

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HRのうちに春休みの課題は提出し、1時限目の数学もいつも通り終えて、これから移動教室。 「悠ー、私今日は班の当番で準備があるから先に行くよ」 「あいよー」 科学の実験の準備は、班ごとにローテーションを決められている。 大和から来ていたメールに返信を終えてから、教科書などを持って、誰もいない教室を出た。 科学室へと向かう途中の廊下で、前から新担任が歩いてくるのが見える。 私は特に気にもせず、そのまま通り過ぎようとしたけれど。 「あ、神崎!」 「はい?」 通り過ぎる前に、小走りで駆け寄ってきた。 「今日の放課後、生徒会室に生徒会役員は全員集まってもらうように放送してもらえるか?」 「いいですけど。でもどうしてですか?」 「実は俺、今年から生徒会の担当になったんだ」 「そうだったんですか!よろしくお願いします」 「いや、こちらこそ」 まさか新担任が生徒会の担当になるとは。 一応礼儀として頭を下げて、そのまま科学室に向かおうと前を見たら。 「あ!」 元担任を、見つけた。 「ちょ、神崎!」 「先生!!」 新担任が何か言っているような気がするけど、今はそれどころじゃない。 「元担任!!!」 「げっ!神崎……」 逃げようとした元担任を捕まえた。 「神崎……生徒会長とも言えるお前が廊下を走るな。転んだらどうする?」 「心配するとこそこですか。全く、メールしても全然返信がないし。何で私のこと避けるんですか」 「い、いや……別に避けては…」 「いるし!そりゃぁ、3年間担任は先生だけだと思ってたのに違ったからちょっとは怒ってるけど……」 拗ねた私を見て、元担任は罰が悪そうに視線を落とした。 .
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