第1恋

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何だ、こんな優しい顔もできるんだ。 「その顔」 「え?」 「その顔のほうがずっといい。ワイルドそうだけど、実はすごく優しいって感じ。さらに女の子にモテますよ」 「ははっ、それは嬉しいな」 やっと声を上げて笑った新担任に、私もつられて笑った。 新しい学校に赴任してきて、いきなり受験生の3年の担任、それに生徒会の担当までやらされたらプレッシャーはすごいと思う。 「大丈夫ですよ。私に出来ることがあったら何でも言ってください。新担任のサポートを全力でします!」 「それはすごく心強いな。助かるよ、神崎」 「任せて下さい」 「それより……その“新担任”っていうのはやめないか?何か、距離を感じるっていうか…」 「あ、失礼でしたね。ごめんなさい。風舞先生」 「あぁ、それがいい」 ふふふ、と微笑み合った。 それから風舞先生の前にいた高校の話や、うちの高校での話、クラスメイトたちの話をして。 気付いた時には、もう日が暮れていた。 「あちゃー……わりぃな、神崎。話に夢中になってこんな時間になってしまった」 「それは私も同じです。仕事、忙しいのにすいません。じゃ、今日はこれで」 「あ、それと!」 慌てたように携帯をポケットから取り出した風舞先生に、私も同じように携帯を探した。 「連絡先、教えてもらえるか?生徒会でいろいろ連絡することがあると思うから」 「はい、もちろんです」 「あとこれは……」 「分かってますよ。誰にも言いません。元担任のときもそうでしたから」 「………ありがとな」 赤外線で交換して、携帯をポケットにしまった。 「それじゃ、さようなら」 頭を下げて、生徒会室を後にした。 .
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