第2恋

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後ろのベンチにいる櫂さんの方を見て、さっきまでのことを簡単に話すと。 「あぁ、確か声楽専攻の伊波くん」 「はい。部活だったんですね、お疲れ様でした」 「悠がお世話になったみたいだね。ありがとう」 「とんでもないです」 煌は私の保護者ぶりを発揮させた。 「ちょっと、煌!ここまで来てお母さん面しないでいいんですけど」 「ははっ!仕方ないだろ、ちょっと心配になったし」 「全く、お前たちは過保護すぎだ」 「そういう築茂だって内心焦ってたくせに~」 「黙れハゲ」 「うっ……」 追いついた築茂と煌のやり取りに、隣に立った日向と顔を見合わせて、笑った。 そんな私たちを櫂さんが不思議そうに見つめるけど、私たちワールド全開だ。 昼食をとるために増えてきた大学生たちの視線が、次第に多くなっていることに気付く。 『ねぇ!あれって……』 『うっそ!あの神崎悠じゃん。久しぶりに見たー』 『また春日井たちといるし。どんな関係?』 『伊波さんまでいるけど。もう1人は誰だ?』 『1年だよ。学年主席だった奴』 『ってか何で神崎悠がここにいるんだろ?』 おうおう、早速野次馬たちが寄ってたかって来ました。 「まずい!悠はここにいちゃダメだ!」 「まさかとは思ったけど、こんなに注目されるんだね」 「日向、何呑気なことを言っている。俺は一度、悠との現場を目撃されたせいで散々な目にあったからな」 「あ~懐かしいねぇ~。じゃ、とりあえずこれお弁当。私は早く退散しますよ」 午後もまだ部活があるみたいだし、私がここにいるといつ、あのしつこい教師たちが来るか分かったもんじゃない。 「本当にありがとね。悠」 「いいえー!それじゃ、私は行くね」 「気を付けて帰れよ」 「変な人に着いて行っちゃダメだからな!?」 「全く、どんだけ過保護な保護者だよ」 苦笑いしながらも、頷いて荷物を持つ。 「あ、櫂さんもありがとうございました。それではまた」 「……あぁ、はい。お気をつけて」 櫂さんと3人に手を振って、足早に大学を後にした。 .
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