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家に着くと、すでに大和も玲央もテレビの前にスタンバイしていて。
私は着替えて、夕飯の準備をしながらテレビを見て。
「このチーム、声はキレイだけど伸びないね。もっと柔軟性があればいいんだけど」
「よく分かんねぇけど、俺もあんま好きじゃねーな。あの男4人のとこがいい」
「そう?やっぱりバランスを考えるなら男女共に同じ人数がいるところがいいよ」
「いや、パフォーマンスとかも点数のうちだって」
なんて、大和と柚夢はテレビを見ながら真剣に話し合ってる。
玲央はレイを撫でながら、テレビから視線を離さない。
手軽にできるタコライスをテーブルに並べて、やっと私もリビングに座って見れた。
「うひょー、ベース音の人やっば!」
「悠が好きそうな声、してる」
「あれ、ばれてた?」
「どんだけ、悠を見てると思ってるの」
玲央くんって私のことには何でも興味を示すからなー。
そんなこんなで4人+1匹でテレビを見ていると、誰かの着信が僅かに聞こえてきた。
BEATLESの「Hey Jude」を着メロにしているのは、洋楽好きな大和。
「大和の携帯、電話鳴ってるよ」
「え、マジで」
ソファに埋もれていた携帯を探し出した大和は画面を見て、煌だと呟いた。
「あ?煌?……別に目の前にいるけど。どうしたんだよ、そんなに急いで。あぁ分かった分かった。今変わる」
怪訝な表情で大和は私に携帯を押し付けた。
「私?」
「煌がすぐに変われって」
どうしてわざわざ大和の携帯に電話したんだろう、と疑問に思いながらも携帯を耳に当てた。
「もし……」
『悠!?あーよかったぁ……』
「ちょっと煌、どうしたの?私に用があるなら私の携帯に電話すればいいのに」
『何度もしたよ!でも全然出ないからめっちゃ焦ったんだけどっ』
「あ、携帯私の部屋だ。だから気付かなかったみたい。ごめんごめん!でも本当にどうしたの?」
『あぁ!悠、最近変な男に話しかけられなかった!?』
「変な男?ナンパなら今日も昨日もされたけど」
当たり前のことを答えれば、目の前にいた3人の痛い視線と煌の呆れたようなため息に同時攻撃をされてしまった。
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