第2恋

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慌てて目線を落として、携帯を握る手に力を込めた。 「で、それがどうしたの?」 『うーんと……じゃ、話しかけられた男の中に銀髪で後ろ髪を束ねている奴、いなかった?』 「いや、そんな個性的な人だったらすぐに覚えてると思うけど心当たりはないよ」 『そ、そっかぁ……よかった』 「でも何で?」 『えっ?あ、いや、別に………いや、やっぱり言っておく。もし、銀髪で後ろ髪を1本に束ねている奴を見かけたら全力疾走で逃げて』 「はい?」 『お願い!!悠には絶対に会わせたくないんだ!』 こんなに必死に懇願する煌も珍しいな、と思いながら一応頷いておく。 「分かったよ。気を付ける」 『ありがとう……本当、悠には指1本触れさせないから』 「え?何か言った?」 『いや、なんでもない!じゃ、約束な』 そう言って、電話は切られた。 銀髪で後ろ髪を1本に束ねている男って、一体誰なんだろう? まぁ、煌が近付いてほしくないみたいだから、言いつけは守っておこ。 余計な心配や迷惑はかけたくないからね。 「煌、何だって?」 「んー、何か銀髪で後ろ髪を1本に束ねている男には近づくなって」 「なにそれ?まさか悠を狙うストーカー?」 「おいおい、やめろよ。不気味だな」 もしストーカーだったとしても、私なら対処法を心得ているから大丈夫でしょ。 「っていうか、昨日も今日もナンパされてるってどういうこと?」 「えー、もうそんなの日常茶飯事だからどうでもいいって。世の中には暇な男が多いんだねぇ。全く、もっと時間を有効に使えってんの」 「……お前って本当、カリスマ性あるよな」 「そんなこと初めて言われたー!」 「悠、何かあったら、すぐに言って。絶対に」 「分かってるよ、玲央。そんなに心配しないで。私は自分の身は自分で守れるからさ。股間を一蹴りすりゃ、こっちのもんだし!」 うしし、とほくそ笑むと男性陣のドン引きした視線が飛んできたけど、見事回避。 それもすぐに笑いの音に変わるんだから、おもしろいんだよね。 .
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