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逃げ道である教室のドアは、野次馬で封鎖されている。
普通に話をすることも困難そうなこの人物から逃れる方法を、誰か教えて下さい。
「神崎悠さん、だね?君にreally、really会いたかった!!」
日本語と英語をごちゃ混ぜにして話すということは、海外留学にでも行っていたんだろうな。
「私は会いたくなかったです。煌を呼べばすぐに私からあなたを遠ざけてくれると思いますけど」
「Why?僕、何も変なことしてないじゃない」
「いや、すでにしまくってますって」
「気のせいだよ。No Problem!さぁ、僕と一緒に行こう」
は?
「行くって……どこに?」
「ついて来れば分かるよ~」
これって私が同意しなければ誘拐っていう犯罪になるんじゃないかな?
やっぱり煌の言う通り、見かけた時すぐに全力疾走で逃げるべきだった。
「嫌です」
「Gosh!It can't be!」
「あり得なくないです。事実ですから。とりあえず手を離して下さい。それと、これ以上ここにいるとそろそろ教師たちが血相変えて来ますよ」
「No kidding?」
「マジですよ」
ここ、日本なんだから普通に日本語を話せないのかなこの人。
「ほらどけー!……何事だ?」
ほーら、来た。
「神崎、知り合いか?もう帰りのHRが始まる。知り合いなら一度外に出てもらいなさい。まだ学校は終わっていないんだから」
「はい、すいません。じゃ、そういうわけなので一度外にお願いします」
「……Okay.じゃMy Princess、校門前で待ってるよ」
風舞先生の登場で、何とかまともに話を聞いてくれた。
ひらひら、と上品に手を振りながら去っていく銀髪の男の人を見送ってすぐに、頭を抱える。
「はぁー………」
「おい、神崎。あいつは一体誰だ?お前と何の関係がある?」
「関係なんて全くないですよ。つい今が初対面なんですから」
「それは知らない相手、ということか?」
「まぁでも、よく知っている人のお兄さんなので挨拶くらいはしておきます。お騒がせしてすいませんでした」
ぺこ、と頭を下げて、イスに力なく座った。
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