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そんな私を見る風舞先生の表情がどんなものかは分からないけど、今はすごく疲れた。
これからのことを想像するだけで、気が重い。
「ちょ、ゆ、悠!!あいつ誰だよ!?」
「悠!?どういう関係!?」
一体いつから見ていたのか、早速うるさい空雅と愛花が私の身体を力強く揺すった。
だるい身体を無理やり起こして、焦点を合わせる。
「今は何も聞かないで。とりあえず、明日から流れているであろう変な噂は全部ウソだから。私は何も知らないから」
はっきりと言い切ったら、あちらこちらから痛いほどに注がれている視線から逃れるべく、もう一度机に突っ伏した。
帰りのHRでは風舞先生は不気味なほどに私を一度も見ることなく、教室を去って。
部活や塾に行く生徒の足取りもなぜか遅く、ちらちらと私を見ている。
全く、こうなるから嫌だったんだよなぁ。
そんなことを考えながら、廊下の窓から一応校門を見てみると、やっぱりいた。
「行くしかない、よねぇ……」
ぼそっと独り言を呟いて、早く帰ってすぐに寝るという計画が台無しにさせられたことを密かに恨んだ。
校門前に行くと、黙っていればハリウッド俳優のようなオーラをしている煌のお兄さん。
顔は似ているけど、性格や雰囲気はまったく違うことにちょっとほっとする。
「……お待たせしました」
「Oh!待ってたよ、My Princess!」
「そのマイプリンセスやめません?私のキャラとは天と地の差があります」
「そんなことないよ!僕は今までたくさんの女性を虜にしてきたけど、君ほど綺麗な女性は見たことがない!まさに僕のPrincessにふさわしい」
「はぁ」
何かもう、どうでもいいや。
とっとと話を聞いて、とっとと逃げるのが一番いいな。
「で、どこに行くんですか?」
「僕の仕事場さ。君にモデルになってほしいんだ!」
「……お断りします」
「How come?」
なぜ、って嫌だからに決まってるでしょうよ。
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