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こ、こいつ……何て図太い神経してるんだろう。
「ますます気に入った!こんなにワクワクしたのは子供のころ以来だよ」
「あのですねぇ?私はあなたの玩具でも遊び相手でもありません。他でやって下さい」
「No way!僕は君がいい。Okay、決めたよ。僕は今から君を絶対に僕のものにして見せる!」
何てことだ、一体いつ私は悪いことをしてしまったのだろう?
こんな仕打ちが待っているほどの悪さをした覚えはないですよ、神様。
「ここではゆっくり話も出来ないし、場所変えよう。さぁ乗って乗って」
と、私の意思は無視され続け、無理やり高級外車に押し込まれた。
もうここまで来たら抵抗するだけ無駄というか、体力の無駄というか。
いや、抵抗する気力もなくなってしまった。
あー……それよりも、一気に疲れが押し寄せて来て眠気が半端ない。
ゆっくりと遼さんが運転する車が走り出して、車内が揺れるのさえ眠気を誘う。
「My Princessはどんな料理が好みかな?フランス料理、イタリア料理、ドイツ料理、知っているお店ならどこでも連れてくよ」
「……ファミレスでいいです。なるべく、遠くない…ところで……」
あぁ、どうしよう。
頭が……重い。
「Got it!ところで煌とは………」
遼さんの声が、随分遠くから聞こえる。
やっぱり昨日の徹夜はまずかったな、とこの時ばかりの運の悪さに呆れる。
車内で流れる音楽は、マイケルジャクソンの「One Day in Your Life」。
どのくらい前のシングルか分からないけど、だいぶ昔だと思う。
ゆったりと流れるバラードは、遼さんの優雅な雰囲気にピッタリだ。
「……?……」
ダ、メだ………もう限界。
睡魔と闘っていたもう1人の自分はあっけなく破れ、ぱたん、と。
座席に身体を預けたまま、意識を手放した。
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