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遼さんがいた部屋は1LKの比較的普通のアパート。
確かに造りはオシャレだったし、駅やデパートも近いから家賃はそれなりにするはず。
高級外車もあることだし、沖縄に帰って来たってことはしばらくあそこに住むつもりだろう。
「ちょっと、悠?」
私にモデルになってほしいとか言っていたから、美容師の仕事をこっちで続けることは分かっている。
もしかしたら、自分のお店でも立ち上げたからモデルが必要になったのかもしれない。
「おーい」
モデル料を高くつけてやるのもいいし、すんげぇへんな顔して写真を撮るのもいいし。
遼さんに心を持って行かれた演技をして、最後にどん底に落とすっていうのもおもしろい。
「悠!悠!!」
「ぎゃふっ」
「何、考えてんの?」
突然、頭に痛みを感じたと思ったら、じっと探るように私を見つめる柚夢。
「………いいえ、何も考えていません」
冷や汗たらり。
柚夢の視線だけじゃなくて、360度から嫌な視線を感じる。
「悠、変なこと考えてないよな?」
「変なこととはどんなことでしょうか。卵にゴーヤジュースを入れて納豆を混ぜた
ドリンクでも作ろうとしていることでしょうか」
一番聞かれたくなかった煌に聞かれて、咄嗟に思いついた言葉を繋げると。
重い沈黙が、突き刺さった。
い、いい痛いよ!
そんな目で見ないでよ!!
「はぁ……いいか、悠。絶対に何があっても二度とあいつには近づかないで。もしあいつから近付いてきたら、すぐに逃げてそして俺かこいつらに連絡して」
「……は、い」
「その間は何だ?」
「はい!」
危ない危ない、煌と築茂からの同時攻撃は辛すぎるよ。
「はい、じゃぁとりあえず今日はここまで!」
すくっとソファから立ち上がって、無理やり話を断ち切った。
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