第2恋

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煌に会うなと言われたので会いません、と返したところで納得するような相手じゃない。 それに、煌たちには悪いけど私もこのまま二度と会わないことはしたくない。 後からこっぴどく怒られることは分かってるけど、このままでいいはずがないもん。 私は『分かりました。土曜日大丈夫です』とだけ返信をした。 電話番号までしっかり入っているから、場所や時間は私の都合のいいように電話で知らせよう。 土曜日は愛花に口裏合わせてもらって、2人で出かけることにしておいて。 学校や大学の近くは絶対に避けないといけないから、残ってるのは北部のほうかな。 ちょっと遠いけど仕方がない。 「変な人に目つけられちゃったなぁ……」 煌と私に関わりがなければ、絶対に遼さんは私なんかに興味を示さなかったはず。 そんなに自分の弟の人間関係を壊して遊びたいのかな。 もしそうだったら、かなりの性格悪男ってことで処理したいんだけど。 何となく、他に理由があるような気がする。 どうして突然沖縄に帰って来たのかとか、煌に何の恨みがあるのかとか。 聞きたいこともいくつかあるし、実際に会ってみないと分からないこともあるかもしれない。 煌に聞いたら絶対に怒られそうだから聞かないけど、実の兄と弟同士でこんな関係のままも寂しいような気がする。 そんなことを1人で考えていると、携帯の長い振動が伝わってきた。 「………マジですか」 画面には、『My Prince』からの着信。 早いとこ、名前を変えておくべきだったなと思いながら通話ボタンを押した。 「……はい」 『Oh!My Princess!まさかOKしてくれるとは思っていなかったから嬉しいよ』 「そうですか」 嘘つけ、絶対思ってただろ。 『土曜日の何時から何時まで大丈夫かな?あと、どこか行きたいところとかないかい?』 「えっと、午前中の10時から夕方の5時までなら大丈夫です。北部の森カフェに行きたいです」 声が部屋から漏れて煌たちに気付かれないように、トーンを落として静かに話す。 『OK!もちろん連れて行くよ。家まで迎えに行こうか?』 「いいえ、それはいいです。I駅の北口にいるのでそこでお願いします」 『All right』 「じゃ、土曜日にI駅で。失礼します」 半ば無理やりに電話を切って、枕に顔を沈めた。 .
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