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約束通りの、昼休み。
「あ、あの!私……ずっと前から神崎さんと話してみたくて…その、だからえっと……」
小鹿みたいな同級生の話はどうでもよくて。
「うん、ありがとう。早速なんだけど、イギリスが好きなんだって?じゃぁリョウのことはもちろん知ってたんだね」
「え!?あ、あぁ!うん、もちろんっ。リョウは女性から圧倒的な人気で、本当にすごかったの!」
「へぇー……そんなにすごい美容師だったんだ。いやね、ちょっとした知り合いだったんだけど私、全然リョウのこと知らなくてさ」
「そ、そうだったの!?私でよかったら知ってること、何でも教えます!何でも聞いてください!」
「ありがとう」
にんまりと嬉しそうな顔をほころばせた彼女に、私も今日何度目かの作り笑いを返した。
「それじゃ聞きたいんだけど、リョウってどうしてイギリスに留学したの?」
「確か……雑誌のインタビューでは、イギリス人に昔から強い憧れがあったって言ってたと思う。そのためにすごい努力をしたってことも」
「そうなんだ。イギリスではどんなお店で美容師をやってたの?」
「イギリスではすごく有名な美容室ですよ!30店舗ぐらいあって、その中の本店でリョウはトップの美容師だったの!」
「そんなにすごかったんだぁ!」
なんて、思ってないけどね。
「じゃぁそんなすごい美容室にいたのに、どうしてリョウは沖縄に来たんだろう?」
「そうなの!先月、リョウがその美容室を辞めるってことですごい騒ぎになっちゃって!お店に客からの苦情や疑問が殺到したの」
「それはそうだよね。リョウ自身はなんて説明してたの?」
「どうしても、沖縄でやりたいことがあるんだって。自分のお店を開いて、大好きな海を見ながら美容師をやりたいって報道されてた」
「リョウって沖縄出身なの?」
「そうだよー!それはすごく有名なことじゃない!」
有名じゃなくても知ってたけど、こういう質問もしておかないとね。
インタビューで本当のことを言うとも思えないから、一応頭の隅に置いておくくらいにしておこう。
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