第3恋

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「ぶははっ!!それで、煌はお怒りなわけか」 「そうなんだよねー。誰か機嫌直してきてよー」 「お前が原因なんだからお前が行って来い」 「大和くーん、冷たーい」 次の日の日曜日。 いつものように集まった私たちは、昨日のことを話していた。 まだ機嫌が直らない煌は、未だに一度も私と視線も合わしてくれないし口もきいてくれない。 ひたすら、築茂とチェスの勝負をしているだけ。 今のところ築茂に7戦中7敗しているんだから、もうそろそろギブアップすればいいのに。 「ねぇー煌ー」 「……」 「昨日は本当にごめんって!あの後、遼さんとお母さんはどうなったー?」 「……」 まぁ聞かなくても昨日の夜に遼さんから電話があって、しっかり話せたことは知っている。 だけどいくら呼んでも私の声に反応を示さないんだから、だんだん腹が立ってくるわけで。 「あーもう!怒っている意味が全く分からないんだけど!」 軽く叫んでも、本当にご立腹の様子で全く相手にしてもらえない。 「まぁまぁ、悠。紅茶でも飲む?」 「レモンティー!めちゃくちゃ冷たいの!」 「はいはい」 言葉や声が猫の手のように柔らかい日向にまで、八つ当たりをする始末。 「うーさーぎーおーいし、まーろーやーかーっ!」 玲央の描いた漫画を読みながら、突然歌い出した空雅。 「え、なに、空雅どうしたの?」 「多分あいつ、いろいろと勘違いしてる」 「玲央、どんな内容の漫画読ませてるのさ」 「……普通の、話。うさぎなんて、出てこない」 「悠、聞かなかったことにしようぜ」 「そうだね。無視しよう無視」 大和と顔を見合わせて、バカの世界に巻き込まれる前に避難。 「悠と煌はまだ喧嘩中なの?」 「喧嘩じゃなくて、勝手に煌が怒ってるだけですー」 洗濯物当番の柚夢が、洗濯物のとり込みから帰ってきて私と煌を見比べた。 .
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