第3恋

10/37
前へ
/842ページ
次へ
いやー……でも、あの女好きな遼さんのことだし、絶対に違うと思うんだけど。 「きっと私のことも遊びだから大丈夫だって。その前に、私があの人に本気になるわけないんだから」 「……確かに悠は心を持って行かれないかもしれない。でも、悠は無意識に男の心を持っていくんだよ」 「いやいや、そんなつもりないって」 「だから俺は怒ってるの!!いい加減、自分の魅力に気付けこのバカ!」 「え、えぇぇー……」 そんなこと言われてもなぁ。 「あー!もう!何で俺は悠を好きになっちったんだよ!?マジで辛すぎるんだけどぉ!悠、どうにかしてよ!」 ど、どうしよう……煌が壊れた。 「どうにかって言われましても……」 「俺以外の男に話しかけないで!笑顔見せないで!楽しそうにしないで!俺だけを見ていて!」 「………えっと」 ちょっと驚きで言葉が詰まってしまった。 まさかここまで想っているとは知らなくて、言った本人も言ったことに後悔しているのか、だらんと力なく私の腕を放して。 「俺……何、言ってんだろ」 顔を手で、覆った。 何て言うか、こんな欲望をまき散らした煌を見るのは初めてで……ってか、こんなことを考えていたなんて驚きで。 何よりも、こんなことであんなに怒っていたのかと気が抜けてしまって。 「ふっ……あははっ!!」 一気に、笑いの波が押し寄せてきた。 「この状況で笑うとか、本当に悠って何なの?」 「あははははっ!!だ、だって…っ…ははっ!何か、おもしろくて……」 「ひどすぎない?俺、めっちゃ落ち込んでるんだけど」 「ぶはっ!ご、ごめ……きゃははっ!ふふっ…だって、さっきまでの私の怒りは何だったんだって思ったら……おかしくって!」 目の前は道路で、思いっきり笑っている私に次第に煌もバカらしくなったのか。 「……ははっ、本当だな。あははっ!」 つっかえ棒が外れたように、2人で腹を抱えて笑っていた。 しばらく2人で目じりに薄らと涙を浮かべながら笑っていると、さすがにうるさかったらしく。 「ちょっと悠!煌!何バカ笑いしてんの!?近所迷惑だから早く入って!」 あたふたしながら、日向に2人引っ張られて家の中へと押し込まれた。 .
/842ページ

最初のコメントを投稿しよう!

343人が本棚に入れています
本棚に追加