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いやー……でも、あの女好きな遼さんのことだし、絶対に違うと思うんだけど。
「きっと私のことも遊びだから大丈夫だって。その前に、私があの人に本気になるわけないんだから」
「……確かに悠は心を持って行かれないかもしれない。でも、悠は無意識に男の心を持っていくんだよ」
「いやいや、そんなつもりないって」
「だから俺は怒ってるの!!いい加減、自分の魅力に気付けこのバカ!」
「え、えぇぇー……」
そんなこと言われてもなぁ。
「あー!もう!何で俺は悠を好きになっちったんだよ!?マジで辛すぎるんだけどぉ!悠、どうにかしてよ!」
ど、どうしよう……煌が壊れた。
「どうにかって言われましても……」
「俺以外の男に話しかけないで!笑顔見せないで!楽しそうにしないで!俺だけを見ていて!」
「………えっと」
ちょっと驚きで言葉が詰まってしまった。
まさかここまで想っているとは知らなくて、言った本人も言ったことに後悔しているのか、だらんと力なく私の腕を放して。
「俺……何、言ってんだろ」
顔を手で、覆った。
何て言うか、こんな欲望をまき散らした煌を見るのは初めてで……ってか、こんなことを考えていたなんて驚きで。
何よりも、こんなことであんなに怒っていたのかと気が抜けてしまって。
「ふっ……あははっ!!」
一気に、笑いの波が押し寄せてきた。
「この状況で笑うとか、本当に悠って何なの?」
「あははははっ!!だ、だって…っ…ははっ!何か、おもしろくて……」
「ひどすぎない?俺、めっちゃ落ち込んでるんだけど」
「ぶはっ!ご、ごめ……きゃははっ!ふふっ…だって、さっきまでの私の怒りは何だったんだって思ったら……おかしくって!」
目の前は道路で、思いっきり笑っている私に次第に煌もバカらしくなったのか。
「……ははっ、本当だな。あははっ!」
つっかえ棒が外れたように、2人で腹を抱えて笑っていた。
しばらく2人で目じりに薄らと涙を浮かべながら笑っていると、さすがにうるさかったらしく。
「ちょっと悠!煌!何バカ笑いしてんの!?近所迷惑だから早く入って!」
あたふたしながら、日向に2人引っ張られて家の中へと押し込まれた。
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