2.意外すぎる幹部交代

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放課後まで図書室で時間をつぶした。 部室に行くと、部室をちょうど市原が開けようとしていたところだった。 高三の引退の記念品代を吉田が集めていた。 全員揃っても弥生だけがまだ来ない。 「勝見に今日部活あるって言ったんだろ」 長瀬が秋山に言うと、秋山はうなずいた。 「掃除じゃないの?」 と、水谷がいらいらしてきた長瀬を押さえるように言うと、梅田が 「普通もう終わってる」 と、言って再び長瀬をいらいらさせた。 「いらつくなよ、薫ちゃん」 「このくそ野郎!薫って言うなって言ってるだろ!!小次郎!」 「そのださい名前で呼ぶな!」 「長瀬、予備校か?間に合わないようだったら先に帰ってもかまわないから」 「別にない」 と、長瀬は南の顔をにらみつけた。 おいらの見た感じこの二人はどうも相性が悪いのだ。 だからいつも言い争いばかりしている。 調停はいつも大槻だ。 「悪いけど、二年は勝見を捜してきてくれるか?」 おいらは秋山に付いて、弥生を探しに行った。 秋山は弥生の居場所を薄々感じていたらしく、まっすぐに生物室に行った。 そこで弥生は、生物教師に怒られていた。 秋山をみると間髪入れずに説教を始めた。 「君は掃除当番か」 「違います…いえ、掃除当番です。遅くなりました」 「二人しか来ないとは何事だ。班員は八人いるはずだろう。今すぐ二人でやりなさい」 弥生はうつむいて、泣いているようにも見えた。 でもおそらく泣いてはいない。 下を向いて歯を食いしばっている。 多分、他のやつらはさぼったんだ。 いや、もしかしたら最初っから弥生に押し付けるつもりだったのかも知れない。 「おまえも、こういう時はさぼればいいんだよ」 雑巾がけをしながら秋山が言うと弥生は、秋山に謝った。 「ごめんね。あたしのせいで」 「おまえのせいだよ。さぼればいいんだよ」 秋山はそう言うが弥生の性格上そういういいかげんなことは良心がとがめるのだろう。 弥生のさらさらの髪がうつむく度に横顔を隠すから、よくは見えないけど今にも泣きだしそうだった。 「明日は全員で来るように」 途中で合流した市原と吉田も併せて4人で頭を下げて、 ようやく部室に戻ると南と長瀬が第3ラウンドを繰り広げていた。 「全員揃ったから、ここで、新幹部を発表したいと思います。 相談し考えた結果、部長は勝見弥生、会計は吉田隆史、副部長が秋山直彦。 市原は、また総務の方をすると言うので幹部から省きました。
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