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僕たちの引退後は、この新幹部のもと、写真部をそれなりに盛り上げていってください」
弥生は今までも見せたことがないような放心状態だった。
それもわかるような気がするけれど、おいらはいい傾向かななんて思う。
何にせよ、おいらの大好きな弥生が人に認められるというのはうれしい。
「新部長、挨拶を」
「あたし…?」
「そう、あたし」
南が、紙を丸めたマイクのつもりのものを弥生の前に突き出した。
「どうぞ、部長」
「ふ、ふっつかものですがどうぞよろしくお願いします!」
真っ赤になってそう言いきった弥生の肩を大槻が軽く叩いて、秋山の肩を抱いて
「僕らもあと九カ月はここにいるから何かあったら相談にきてもらって構わないから。以上」
大槻がそう締めくくって、三年は鞄を持とうとした。
そのとき吉田と市原が弥生にラッピングした袋を5つ弥生に押し付けた。
面食らった弥生に何か耳打ちした。そしたら弥生が言った。
「せ、先輩!いろいろとお世話になりました。
これはあたしたちからのほんの御礼です。
どうぞ大事にして下さい」
「弥生ちゃんからプレゼントをもらえるなんて感激だなあ」
南がその袋に頬ずりし、開けようとした。
「い!今開けるんですか?!」
市原が言った。焦ったような声だった。
と、梅田がちらっとつつみをみて、
「なーんか開けたくなってきた」
全員が開けた途端に、大槻は笑いを堪えるように左手で口を押さえた。
水谷はそれを広げた。
梅田は笑い飛ばした。
長瀬はそれを振り回した。
南は弥生に言った。
「ありがとう、弥生ちゃん。大事にするよ」
弥生は出てきたものを見た途端、さっきより真っ赤になって後ろを向いてしまった。
全員が大爆笑。
弥生がちょっとかわいそうな気もするけれど、でもやっぱり笑わずにはいられなかった。
「あんまり、新部長をおどかさないように」
大槻は最後に一言そう言って、
弥生以外の「ありがとうございました」に送られて出て行った。
弥生の顔はまだ火照っている。
「びっくりした?まさかあそこで先輩たちが広げるとは思わなかったんだ。
誰も、おまえが買いに行ったなんて思わないって」
「びっくりだよ…」
弥生が、そう言って頬を赤らめる姿は、笑顔よりかわいかった!!
そう思ったのもおいらだけじゃないらしかった。
ちなみにプレゼントはパンツだよ。
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