3.驚きの恋愛事情

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そして塾だ。 おいらは、当然ついて行った。 七時半になっても弥生の右の席は埋まらなかった。 けれど40分になったときドアが開いて、前から3番目の弥生の席の右側に座った。 くそ、ここからでは顔がよく見えない!! だけど、この人数が少ない部屋の中で下手な動きをしたら見つかってしまいそうだから、 出て行くわけには行かない。 イライラして二時間後、授業がすべて終わったとき、 ようやく風間の顔を見ることができた。 写真で見るよりも整った顔をしていた。 市原のことイケメンと言っていたけれど、それとはもう少し違うかっこよさがあるかな? 男のおいらが見てもうらやましと、思う。 短い髪も男っぽいし、浅黒さもたくましい。声も渋くて『男』って感じだ。 「勝見、学校、風蓮?」 突然話を振られた弥生は真っ赤になってコクンとうなづいた。 「なんか、ガキんときと全然変わってないなあ。相変わらず無口で」 風間は笑いながらそう言った。 弥生は、風間が同じ学校の奴らと出て行った後、教室を出た。 弥生は、それだけの会話だけでちょっとばかりうれしそうだった。 「おや、勝見さん?」 振り返るとぼーっとした写真部の水谷が自習室から女と出てきたところだった。 その女は、弥生と同じ制服を着ているから同じ学校なんだろう。 「勝見さんもここか。今日は何の授業?」 「数学でした」 「水谷君、この子が南君がいつも言ってる、かわいいかわいい弥生ちゃん?」 「そうだよ。写真部唯一の女の子」 水谷は、ニコニコと笑いながら女と二人で弥生に向かって手を振った。 おいらは自転車の篭の中に入って、夜風を感じながら失恋の痛手を癒していた。 風間という男に、おいらは弥生を奪われてしまったのだ! こうなってしまった以上、弥生ファンクラブ1号の身としては風間を知る権利がある。 来週会ったときには、風間の鞄に潜り込んで風間のことを知ろうと決心した。
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