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2.意外すぎる幹部交代
文化祭がうまく終わったのはいいが部活が減ってしまったので、弥生は以前の弥生に戻ってしまった。
新しいクラスになって一カ月たったのに、まだ馴染めていない。
席替えで、クラスの中では比較的よく弥生に声をかけてくれた、小室という女との席も離れてしまった。
おいらは、クラスの中での弥生を見るのがいやで、最近はあまり学校について行っていなかった。
一人で電車に乗って出かけたり、動物園や水族館や美術館に行ったりしていた。
弥生と出会う前にはあまりよくわからなかった乗り物のことや、遊園地や動物園って場所のこと、いろいろ知ったから、行動範囲が広がったんだ。
一人の時も、誰かの家でテレビ見て、知識を入れることもできたけど、
やっぱ『本』っていうものは弥生の力があってこそ読むことができた。
弥生と知り合えてほんとよかったと思う。
だけど、今日はたまたま部活があるとかでおいらも久しぶりに学校について行った。
とは言え、教室にいるのはいやだから、大槻と南のクラスにいた。
昼休みになって、大槻は南や他の男達と弁当を広げた。
不意に一人で食べる弥生のことを思い出して弥生に会いに行こうと思った時だった。
「やっぱ、勝見だな」
南のその声に、おいらは足を止めて、大槻の鞄に潜り込んだ。
重大なことみたいだ。
今日は弥生の所に行くのはやめよう。
「勝見って例の、紅一点?それがどうしたんだ?」
顔は見えないけど、その他大勢の台詞だと思う。
「次期部長だよ。どうしようかって悩んでるんだよな」
南の声だ。
「今日中に決まるかな」
「女だったら会計のほうが向いてないか?うちの部はそうしてる」
「彼女を会計にしたら、甘くみられて予算削られそうな気がして…」
大槻の声だ。
「市原が、副会長からそのまま会長になってくれたらその心配は消えるんだが、
まだどうなるかわからないだろ。
秋山を部長にしてもいいんだけど、いや…と、いうより俺はそのほうがいいんだ。
だけど、こいつが反対する」
「秋山は南に似てるから、部長には向いていないよ」
「どうせ、俺はけんかっぱやいよ。」
「部長は制止がききやすいほうがいい。だから…やっぱり部長は勝見さんだよ」
「おまえら、まじめだな。
俺達なんて、後は野となれ山となれ。
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