ああ、友情

1/1
前へ
/27ページ
次へ

ああ、友情

今なら、この言葉を使うだろう。 しけとお…。 しけてる…とは博多に来てから覚えた言葉。 パッとしない、 地味、 あまり良い意味ではない。 今、この現状がそのまま当て嵌まる。 飲み会。 付き合いの飲み会ほどしけたものはなく、私はたいてい、友達にメールで 「3分後に電話して」 とお願いをして、電話を口実に逃げる。 私もマサキと同じで合コンは行かない。 彼氏いるし、知らないヤツと盛り上がる自信ないし、…イケメンが来るわけがないのを知っている。 もちろん、相手も同じ気持ちだろうな。 合コンには 堀北マキも新垣ユイも来ない。 福山雅治も水嶋ヒロも来ないのだ。 実にくだらない。 「話、違うくない?」 私は友人に小声で聞く。 ほんの一週間前に、女の子同士でたまには飲まない? そう言われてオッケーしたら…実は合コン。 「私、彼氏いるし」 と抜ける気満々。 「もうちょっとね、お願い」 となかなか友人は帰してくれない。 とりあえず、トイレで作戦を練ろうとその場を離れる。 しけたメンツで盛り上がりイマイチ。 まあ、料理は美味しい。 さて、困った。 いつもは電話してくれる友人も今回は一緒。 とりあえず、困った時のケンちゃん頼み。 ケンちゃん…留守電。 使えない男! つぎ、小林。 話し中。 くそ、君らの邪魔は永遠してやる! 仕方なくマサキにかける。 かけなきゃよかったと後から後悔した。 「コハナちゃん、今何時だと思ってんの?」 「深夜…1時?」 電話に出たマサキはかなり不機嫌だった。 しまった寝てたのかな? 「俺が質問してるんだから聞かないでよ!」 「うん、ごめん寝てた?」 「寝てた」 ちょっとは遊ぼうぜ王子様。 「ごめん…あのさ、お願いあるんだけどさいい?」 「なに?」 王子様は寝起き悪いんだなあ…覚えておこう。 私はお願い事と理由を言った。 「合コン?コハナちゃん彼氏居るのに?」 「居るよ、だからなに?」 「彼氏居るのに合コンなんて何考えてんの!」 しまったあ…マサキは真面目過ぎて、こんな事許さないタイプ…
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加