120人が本棚に入れています
本棚に追加
「玲奈から聞いたよ。話があるんだって? でも何で私達なのかな? 二人の式に関しては私達は他人なのに」
「他人じゃないんです。どうしても話しておきたいことがあったから呼びました」
あまりにも真剣に語る未来の口調に、集められた六人はただならぬ何かを感じた。
いったいこれから何を告げられるのだろうか? 六人の両親の視線が二人に集まった。
すると桜は深呼吸を一つ吐くと、彼女は水無月の両親の前に歩み寄ってこう言った。
「水無月さん。私は麻矢さんの心臓のおかげで助かった一人の人間です」
「……はい? 桜ちゃん。今、何て言ったの? 麻矢の心臓が……何?」
桜からの突然の告白に麻矢の親である裕子がそう聞き返す。
当然ながら、この場に呼ばれた全員が驚いたのは言うまでもない。
事実を知った者、知っていた者も含めて。
特に桜の両親は水無月の二人が娘の命の恩人である麻矢の親だとは思ってなかった。
てっきり音神の親戚か何かかと思っていたのだ。
「私の心臓は麻矢さんから受け継いだ物なんです。私が未来君と一緒に麻矢さんと美羽ちゃんにお線香をあげる為に初めてお会いしたあの日。あの遺影の前に置いてあった一通の手紙は私の物です。
それを見た時に確信が出来ました。誰の命のおかげで私がいるのかを」
あの手紙は未だに二人の遺影の前に置いてある。だがその差出人が目の前にいる花嫁だったとは……。
俊哉と裕子は頭が真っ白になり、掛ける言葉が見当たらなかった。
最初のコメントを投稿しよう!