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幸せになるさ。それがアイツとの約束だ。
桜は俺がしっかりと守ってく。
未来は一樹の胸をトンと軽く突いてそう言った。
互いに笑い合う二人だが、そんな最中に未来の控室のドアが開いた。
「こら未来! 長話してないで桜ちゃんに会ってやりなさい! 今日の主役なのよ!?」
ドカンと迫力のある声を出したのは香だった。一児の母である彼女も今日はしっかりとドレスに身を包んだいた。
香は先程までは桜の控室にいたが、準備が出来たらしくここまで呼びに来たようだ。
「悪い悪い。すぐ行くよ」
未来はそう言うと控え室を出て花嫁の待つ控え室に足を進める。
初めて会うわけでもないのに緊張して胸が高鳴る。
これが結婚式という雰囲気なのかもしれない。それより桜のウエディングドレスか。
きっとすごく綺麗なんだろうな。
そんな期待をするうちに気付けば控室のドアの前。
未来はコンコンとノックする。すると中からは「どうぞ」と声が聞こえ、未来はドアを開けた。
中に入ると椅子に腰を掛けたウエディングドレスを着た花嫁が目に入る。
彼女は未来の方を振り向いて照れ臭そうにこう言った。
「未来君。似合ってるかな?」
ウエディングドレス姿の桜はとても綺麗だった。
言葉に表せられないくらいに美しい。そして誰よりも愛しく思える。
彼女の花嫁姿に未来は言葉を失った。
すると後ろから誰かが未来の背中をポンと押した。
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