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「はは…ゲームの中の世界なの?」
信じられないと思わなかった。
目の前で起こった不可解な現象に対して、驚きもしたが常日頃から何が起こるかわからないと思ってたから。
「そうだよ、身体は…大丈夫みたいだね?」
「これを見てそういうのかい?」
腕に刺さる破片を見せてアラさんと笑った。
「それくらいどうってことないだろ?さあ、おれの家に行こうか。
この山の麓にある街だよ。」
ー麓の街ー
うわぁ…、と感嘆をこぼした。
現実の世界では考えられないような大きな壁で囲まれ、街の周りに掘られた堀に可動式の石橋がかかっている。
「すごいねアラさん、こんなところ今まで見たことないよ!」
「そう?見慣れたから特に違和感は無いんだけど。
でも初めて来た時は確かにびっくりするよな。」
見慣れた…という言葉に違和感を感じた。
アラさんが居なくなったのは確か二週間ほど前だったはずだ、こんな夏に入る時期に雪が降っているのはここがsnow、つまり雪の世界だから納得したとしても二週間も居るだけで見慣れたという表現をするだろうか。
…別にするな?と納得させたところでアラさんに話しかけてみた。
「アラさんの家に行くんだよね?わざわざこっちに家を借りたの?」
「まぁ、これだけこっちに居たらな。
借りないと仕方ないだろ。」
ますます話があっていない。
これだけ、という言葉には絶対に二週間では足りないだろう。
二週間くらいなら宿を借りてもいい、その方がおそらくではあるが安いからだ。
家を借りるほどの期間なのか?という気持ちは隠せない。
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