道化師は笑う、心を隠して。

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グサッ! 物体に深く矢が突き刺さった、しかしあまり効いていないように見える。 失敗したのかと思った瞬間、物体の体が黒く変色し始めた。 ボロボロ…。 変色した部分はまるで灰のように風に吹かれると消えていく。 さっきから一つ気になっていたことがある、物体の上の謎のゲージ、青いゲージが減っていくのだ。 全部無くなると物体は動かなくなる、RPGのHPバーのようだ。 だが、そんなことは後でもいい。 あとは一体、これを倒した後でゆっくり考えよう。 矢も爆薬も無い、特攻した際に落とした矢からかなり離れてしまった。 ナイフを手に取る…始めて手にしたそれは鈍く光っている。 「…殺す!」 物体を切りつけるとブシャア!という音と共に中身をぶちまける。 「もう一回だ!」 ザシュ! 物体はさらに中身をぶちまけると動かなくなった。 「助かった…?」 ドサッ。 なんだろう足に力が入らない。 脇腹の辺りの雪が赤いのはなぜだろう、腹部には転がった際に刺さったのだろうか、木の枝が…。 意識が遠のく…父さん…母さん…銀さんや妹達…。
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