道化師は笑う、心を隠して。

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意識が覚めるとどこかの部屋にいた、木造の壁、木造の床、木造のベッド。 そして… 「!!」 ズザザ! 木の椅子に腰掛けている男を見つけて後ずさる。 自分の衣服が着替えさせられていることに身の危険を感じる。 「あぁ、安心してくれていいぞい、わしは運んだだけで着替えは町医者の女医さんにやらせたからの。」 暗くて見えないが老人のようだ、一旦安心して事情の詳しい説明をお願いすると 「もとからそのつもりじゃわい、言われんくったっての。」 と言われた。 ー老人の家ー ネトゲの世界に入ったという話にはすごく驚いたが、それもすぐに好奇心に変わる。 「つまりこの世界は異次元なんだな!おれはゲーム世界に閉じ込められたわけだ!」 「お前さんやけに嬉しそうじゃの?」 それはもちろん、普段から異次元だのモンスターだの憧れだったんだ。 嬉しく無い訳が無い。 その老人は自らをフォトとなのった。 「フォトじいさんも飛ばされてきたのか?」 「いんや、わしはずっとここにおるよ。 ここで生まれたものはNPCと呼ばれておるが実際は普通の人間じゃよ、感情がないとかありえんからの。」 「フォトじいさんもNPCってことか。」 「いや、わしはNPCではないぞ。」 「えっ?でもずっとここにいるって」 ボケてるじいさんのようだ。 とりあえず依頼をこなして金を貯めた方がいいと言われた、もちろん魔物退治などは金が稼ぎやすいが普通は農業などの手伝いをするらしい。 しかし、おれは魔物退治を請けた。 金を稼いで、この街を出て行くんだ。 ずっとこの街に住み続ける?冗談じゃない。 この世界から脱出する。 確かにここは魅力的だが、家族を置いてまで居たい場所じゃない。 さて、まずはキラービー退治か。
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