道化師は笑う、心を隠して。

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ー雪山ー スキルを上げて、金を貯めて、モンスターを退治して。 その繰り返しで金が貯まってきた頃に人間を捕まえる依頼を請けた。 山賊…ということでおれがいた雪山の向こう側にある小屋に行くことになった。 役所から貰った説明書にはこうあった。 生死は問わない。 殺せ…ということだろうか、だが人間を殺すのは嫌だ、出来れば気絶させて役所に引き渡そう。 ー盗賊の小屋ー 小屋につくと賑やかな声が聞こえた、山賊か、人を襲い自分達は酒を飲んで笑うなんて、許せない。 でも、それだけならどれほどよかっただろうか。 「…ん?笑い声に混じって叫び声が聞こえる…これは…悲鳴?」 小屋に近づくにつれて悲鳴は逆に小さくなった、いや聞こえなくなったと言った方が正解に近い。 窓からそっと覗き込む。 「…えっ?」 目を疑った。 そこには裸の男女。 男は壁に縛り付けられ、山賊と思われる男にナイフを投げられている。 ナイフが刺さっても悲鳴をあげない。 死んでいる。 女は気絶している。 山賊の男は女を抱いている、上から覆いかぶさり腰を振る。 山賊の男が女を強引に引きずったのだろうか、爪の跡がベッドには付いている。 そして殴られたのだろう、鼻から血を流し、口からも噛み締めたせいか唇から血が出ている。 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」 山賊が一斉にこちらを見た。 「ひっ…」 笑うな…笑うな…。 「へへ…よう、お前も混ざるか?」 ぎゃはははは! 「笑うな…笑うな…。」 「あぁ?なんだって?」 「笑うなぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
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