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銀さんと一緒に洞窟を駆け上がる。
しかしなぜあのような巨体であんなスピードが出るのかわからないほど速い。
オーガは段々と距離を詰めて来ている、爆薬を使おうか…いや、洞窟が崩れてしまうかもしれないしなによりこの距離では巻き添えをくらう。
毒矢をつがえようにも走りながら放てるほどスキルは高くない。
「うごおおおおおおおお!」
「まずい!銀さん!」
オーガが手にもったこん棒を投げつけて来ていた。
銀さんはすでによけていた、しかしおれは人に注意を呼びかける前に自分の注意をすればよかった。
「がっ!」
左腕でガードするも、防御力を遥かに凌ぐオーガの筋力で投げつけられたこん棒だ、左腕が折れてしまったようだ。
こんな…ところで!
「銀さん…銀さんだけでも逃げて…お願い…ぐぅっ!」
「無理するなアラさん!」
何をしているんだ銀さん。
銀さんはおれの前に立ちはだかる。
おれからダガーを奪って。
「そんな獲物で太刀打ち…いっ!出来るわけ無いだろ!銀さん!」
「うごぉぉぉぉぉ!」
「来いっ!」
銀さんがそう言った瞬間だった。
銀さんが光り始めた…いや、銀さんが光を纏っているようだ。
銀さんの服と持ち物が変わる。
銀さんは手に杖を持っている、そして手には本を、そしてローブを見に纏っている。
「…銀さ…ん?」
銀さんは何かを呟いている、何をするつもりかもわからない。
「地に立つ…を…え…
グリース!」
魔法だ、間違いない。
オーガはまるで油が塗られた床でこけるようにつるりと足をあげた。
ツルツルと岩でゴツゴツした洞窟内を転がって行く。
「アラさん!大丈夫か!」
「銀さんに何が起こったんだ?」
「なんか時が止まったように周りが動かなくなって…そしたら格好がこうなっていたんだ。
待ってて。」
そういうと銀さんはまた呪文?詠唱?のようなものを呟き始めた。
「ケア。」
銀さんの手が光り始めた、銀さんが折れた腕に手を伸ばした瞬間ビクッとしたが、銀さんが手を触れると折れた箇所がむず痒くなる。
「ん…!なんだこれ。」
「自然治癒力を高める魔法らしい。骨折くらいならすぐなんじゃないかな?」
確かにそのようだ、手を振ると痛みは無かった。
「うごおおおおおおお!」
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