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家に帰ってからは、今までの思い出話やら、くだらない話やらを只管喋り続けた。
じゃないと、俺にまで彼が見えなくなってしまいそうだったから。
「生まれ変わったらさ、女に生まれるか同性結婚の認められてる国に生まれたいなぁ」
いつの間にか俺たちは酒盛りをしていた。
微妙に浮いてソファーに座っている彼の顔は微妙に赤くて、幽霊でも酔っ払うらしいことが解った。
「人間に生まれ変わるのって6分の1じゃなかったか?」
確か六道とかそんな感じのがあった気がする。
「君に愛着持ってるから大丈夫だよ?」
「でも俺、中身お前でもロリコンはヤダよ?」
今から生まれ変わられても、ずいぶんと年の差がある。
「じゃあ男ならいい?俺、生まれ変わるの男がいいし」
「ショタコンもやだ」
そう答えると、彼は少し考えるような仕草をして、言った。
「でも、その頃にはきっと、今よりも年の差結婚が?」
「少子化だし、数は大して変わらないと思うけど。
ってか例えお前が同性婚OKの国に生まれたとしても俺日本在住だし」
というかコイツは、急に何を言い出すんだ。
「じゃあ、君が死んで生まれ変わる頃まで待って、俺はまた死んで、もう1回生まれるよ」
そしたら年の差がないじゃん?と、彼は笑った。
「そんなホイホイと死んだら遺族に迷惑だろ」
「けど、早く会いたいし。49日って短いじゃんねぇ?」
あと1ヵ月と少しで、彼は本当にいなくなるんだ。
「でも俺は長寿世界一目指すから。そんなに待ってられないだろ?」
そんなにサッサと死ぬ予定なんて、俺にはない。
生まれ変わってもまた会えるなんて、決まってもいない事にかける気も無い。
「わかんないよ?俺結構、我慢強いし、それに不慮の事故とかあるし?」
不幸は続くものだとかいうけれど、縁起の悪いことを言わないでほしい。
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