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「つか、何でお前死のうと思ったわけ?」
自分が家に帰らないだけで、家族仲は悪くないはずだ。
別に困るようなことも、悩んでることもないと思う。
そんなのがあったら、俺に泣きついてるはずだから。
「なんでかな、ホント、自分でも分かんないや」
首を傾けて彼は言った。
それならなんで、死ぬ必要があったんだよ。
しかも、俺の目の前で。
「なんかさ、これから先どうなるかとか、全然わかんないじゃん?
それならせめて、君が俺のことを忘れないのが一番いいかなとか思っちゃったわけでね。
なら目の前で死んじゃったらどうだろうとか思ったわけなんだ。多分」
どうしてそう、簡単に実行しちゃうんだか。
人の気持ちなんて、そうそう解るもんじゃないなぁ。
「お前はバカだろ」
そうとしか思えない。
「うん、そうだね。生きてる方が傍にいれるのに、ホント俺ってバカだね」
彼は、買いたい物があって遠くまで買い物に行って、何も買わずに帰ってきて、その事に家につく頃に気付くような奴だった。
無駄な事ばっかりやって、『何考えてるのか解らない』と言われてる事が度々あった。
「49日ってホント短いよねぇ。あ、ちゃんと供養よろしくね?」
「そういうのは家族に頼めよ」
墓のある場所とか知らないし。
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