60人が本棚に入れています
本棚に追加
「よいしょ。」
必要なものを詰め終わったかばんを持ち上げて、僕は部屋を見渡した。
何年も、お世話になった部屋だ。
思い出も、たくさんある。
少し悲しい気分になって、僕は軽く頭を振った。
駄目だ駄目だ。
僕は部屋を出て、オートロックの扉を閉めた。
もう、ココに来ることはないのだ。
そういえば、志島先生はゆっくり支度しろと言っていたが、どういう意味だったのだろうか?
帰りにでも、聞いてみようか。
そんなことを考えながら、出口へ向かう道に踵を返した時だった。
「雨谷ッ!!」
居るはずのない、彼の声を聞いたのは。
最初のコメントを投稿しよう!