君に片思い

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「よいしょ。」 必要なものを詰め終わったかばんを持ち上げて、僕は部屋を見渡した。 何年も、お世話になった部屋だ。 思い出も、たくさんある。 少し悲しい気分になって、僕は軽く頭を振った。 駄目だ駄目だ。 僕は部屋を出て、オートロックの扉を閉めた。 もう、ココに来ることはないのだ。 そういえば、志島先生はゆっくり支度しろと言っていたが、どういう意味だったのだろうか? 帰りにでも、聞いてみようか。 そんなことを考えながら、出口へ向かう道に踵を返した時だった。 「雨谷ッ!!」 居るはずのない、彼の声を聞いたのは。
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