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sid.晃雅
会計である白川は、生徒会の中で一番、雨谷と仲が良かった。
よく食堂で一緒に飯を食っているところを見るが、いつも無表情な雨谷が、楽しそうにしていたのを思い出す。
ここ最近、いつもへらへら笑っている白川も、目に見えて元気がなくて。
俺をからかってケラケラ笑っていたときもあったが、やっぱり雨谷がいないのがさびしいのだろう。
そして、学園をやめることを告げてくれなかったことが何より、白川のことを悲しませているのだ。
俺も、そうだ。
どうして誰にも言わずにいってしまったのか、それが不思議で仕方なくて。
今。
この学園にいるというのなら、そのことを訊きたくて。
そして、もう一度雨谷と、一緒に生活を送りたいなんて、図々しいだろうか。
「会長ッ!!!」
「!、白川?」
突然、叫んだきり黙りこんでいた白川が俺を呼んだ。
その瞳は苛烈に輝いて、真っ直ぐで。
「副会長……零ちゃんを、追いかけて。会長じゃなくちゃ、ダメなんだ……俺じゃ、きっと零ちゃんは……
だから、会長。連れて、帰ってきて。
それで、零ちゃんに…
…おかえりを、言わせてよ。」
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