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「零次」
それはひどく突然に。
初めて呼ばれた、僕の名前。
あまりに甘い声に、僕は振り向いて。
ふわ、
とでもいうように、いつの間にか僕は、会長の腕の中。
耳元で、
「好きだ、零次」
甘いささやきが僕を誘って。
嘘だ。
そう思うのに信じてしまうのは、
僕が君を愛してしまっているからで。
「行かせない。零次―――」
切ない声で、呼ばないで。
信じてしまうよ?
こんな都合のいい夢のような君の言葉を。
あり得ないと分かっているのに
信じてしまうよ―――
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