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君が幸せそうに笑って
生徒会室に入ってきた。
僕は訊いたんだ
「どうかしたの?」
そしたら君は言ったよね
「明と今度出かけることになったんだ」
明。
この間来た、転入生。
そっか、君の思い人は
あの転入生だったんだね。
嵐のような子だなって、思ってた。
本当に、嵐のように君をさらって行ってしまったけど。
明るくて、
元気で
優しい子だと思う。
ちょっと見た目があれだけど。
それでも、僕は君が選んだならそれでいいんだと思うんだ。
これで僕はもう
必要なくなってしまった。
最初から僕の居場所なんて、あってないようなものだったけど。
君を守るのも
君の隣を歩くのも
君を笑わせて、幸せにするのも。
僕じゃない。
僕じゃないって分かってるけど。
「おめでとう」
「あぁ、ありがとう」
ねぇ、今だけ。
泣いてもいいかな。
君の嬉しそうな顔が、ほんの少しだけ憎いと思った。
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