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20XX年、東京―
今、小中学生の間であるカードゲームが大流行していた。
その名は、『HEROs'Impact(ヒーローズインパクト)』。
数十種類存在するヒーローカードの中から数枚を選び、
そのヒーローが持つ特殊能力と、
様々なカードとのコンボで、ヒーローのパワーを強化し、合計パワーを競い合うというものである。
シンプルながら奧が深いこのゲームに魅了された子供たちは、
今日も強力なカードを求めて、街のカードゲーム屋に集まるのであった。
【カードショップ シューナ】
清潔に掃除された、広い店内の一角に設立されたカードゲームプレイスペースで、
複数の小学生があちこちのテーブルでゲームを楽しんでいた。
プレイしているゲームはもちろん、『HEROs'Impact』である。
「おりゃーっ!!
『音速超人ウインドエース』!!
パワー550だ!!お前の『死霊刑事デスペラン』より上だぜ!!」
「なんのっ!!サポートカード『レーザーブレード』!!
デスペランのパワーを100ポイントアップさせるよ!!」
子供達が各々対戦を楽しんでいるなか…
スペースの最も奧の机で行われていたゲームに、決着がついた。
「必殺カード、『ダイヤモンドクラッシュ』!!お前の負けだぜっ」
「あちゃ~~…負けちゃった…」
敗北した事を確認し、テーブルに広げたカードをしまう少年。
少年の名は『結城 命介(ユウキ メイスケ)』。都内に住む小学五年生だ。
「まったく命介は弱いよなぁ~…。HEROs'Impactの事なら俺達の中で一番物知りなのによぉ。」
命介と対戦していた少年が不思議そうにつぶやく。
「ハハハ…
なんかね、戦ってる相手もヒーローなんだって考えるとさ、イマイチ本気になれなくってさ…」
「バカじゃねーの!?ヒーロー同士で戦わせるのがHEROs'Impactだろ!?
どういう理由だソレ?」
命介の言っている理由がサッパリ理解出来ない少年。
「言ってる僕もよくわかんないんだけどね…ハハハ…」
「はぁ…それによぉ、何でお前そのカードしか使わねぇんだ?」
「え?」
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