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ヒーローカードは、補助、必殺技カードとは違い、パックから見て裏向きに入っている。
どんなヒーローが手に入ったかは、裏返すまで分からないというわけだ。
それを確かめるまでのワクワク、ドキドキとした感じが、命介は好きで好きで仕方が無かった。
胸が高鳴っているのが分かる。
命介は思い切って、カードを表にした。
「っ…………アレ?」
表になったヒーローカードは、神霊剣士 ソウルブレイダー。
命介が使っているのと、全く同じカードである。
「ああ……ああ~~……」
ガックリと肩を落とす命介。
いくら好きなヒーローといえど、カードがダブるというのは、やっぱり、あまり嬉しくないものである。
その時だ。
「………ッ!?」
突然、カードを持っていた手が、静電気を浴びたかのようにバチッ!と痺れた気がした。ソウルブレイダー以外のカードが、床に落ちる。
「?!………!??」
なんとも不思議な感覚だった。床に落ちたカードを拾い集め、もう一度握ってみるが、今度は何も起こらない。
「なんだったんだろ…今の…?」
奇妙に思いつつも、命介はソウルブレイダーを含めた5枚のカードを、愛用のカードホルダーにしまい、カバンの中に戻した。
もうすぐ好きなテレビ番組が始まる。
命介は大きく伸びをしてから、部屋を出てリビングに向かって行った。
…部屋を出る直前、カードホルダーの中、
先程手に入れたソウルブレイダーのカードがおぼろげな光を放ったが、
命介がそれに気付く事は無かった……。
【都内某所】
薄暗い研究室の中、サングラスを掛けたスーツの男と、金髪の少年がコンピュータのディスプレイをまじまじと見つめていた。
ディスプレイには東京の地図が映されており、
その一点で赤いマークが点滅している。
「…新しい『カード』の反応があった。ここから…そう遠くないな。
明日、この場所に行ってみるとしよう。」
スーツの男が金髪の少年に言った。
「…ったく、一般のカードの中にあんな大事なもんを混ぜるなんざ、どういう神経してんだよ?」
金髪の少年が毒付いたが、スーツの男がそれをたしなめる。
「木を隠すなら森の中さ。それに、『奴ら』の手に渡るよりは遥かにマシだよ。」
「フンッ…」
「そう…あれは大切な切り札なんだ…
この世界を救うためのね…」
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